MAGAZINE当矢通信

プリプレス

刷版とは何なのか?

刷版とは何なのか?

刷版とは?

刷版とは印刷を行うための大きなハンコのような印面を指します。オフセット印刷ではPS版と呼ばれる感光剤が塗布されたアルミのプレートに対してフィルムもしくは印刷用データを使って露光することで印面を生成します。印刷業界ではこの工程自体を「刷版」と言うこともあります。

印刷工程における刷版

一般的に印刷工程は「プリプレス」「プレス」「ポストプレス」に区分できますが、このうち刷版はプレス工程に含まれます。製版工程で制作されたフィルムやデータをもとに物理的な印版を作る工程になります。

PS版を使った刷版の製造原理

PS版とはアルミ製の板に親水性層を重ね、その上に感光性樹脂を塗布した材料です。このPS版に対して製版工程で作成されたフィルムを密着、もしくは印刷用データを使い露光を行うと、光が当たった部分(フィルムの透明な部分)の感光性樹脂が硬化します。露光後、現像処理を行うと、光の当たらなかった部分の感光性樹脂は溶解除去され親水性層が露出。印刷用インキは油性であるため感光層にはインキが付着し、親水性層が露出した部分にはインキが付かなくなります。刷版を作るための材料がプレート状であるため、印刷業界では刷版のことを単に「板」と呼ぶことがあります。

刷版の主な製造方式

刷版の製造方式にはフィルム方式CTP方式があります。従来は印刷データを元にフィルムを作成し、そのフィルムをPS版に感光させて版が作られていました。しかし現在ではデジタル化が進み、フィルムなしで版を作るCTP方式が主流となっています。フルカラー印刷であれば、いずれの方式でもシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4種の刷版が必要となります。

【フィルム方式】

デザインデータを色ごとに分解して透明フィルムにモノクロで出力します。フルカラーの場合はCMYKと4枚のフィルムになります。このフィルムを使ってPS版を感光させ(焼きつけ)刷版を生成します。

【CTP方式】

CTPとはComputer to Plateの略で、プレートセッターと呼ばれる機器に印刷用データを読み込ませ、刷版を作成する方法のことです。フィルム出力の工程をデジタル化することで、データからダイレクトにPS版に焼つけることが可能になりました。

刷版はどう使われるのか?

オフセット印刷では最終的に印刷機の版胴と呼ばれるローラーにPS版をセットし、印刷を行っていきます。版胴に巻きつけたPS版にはインキローラーによって絵柄部分のみにインクが付着し、ブランケット胴を介して用紙に絵柄が転写されます。(※参照「オフセット印刷とは?」)
原則として刷版は使い回しが効かないため、一度の印刷にのみ使用されます。たとえ同じ印刷内容でのリピート発注となった際にも再度刷版を制作する必要があります。

刷版の種類

現在、版を要する印刷としては主に凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷の4種が存在します。これらの印刷方式は今回ご説明した刷版の形状や仕様によって決定づけられています。ご興味がございましたら、是非コラム『ずばり!印刷の方式を大きく2つに分類!』をご覧くださいませ。

当矢印刷の刷版部門について

当社の印刷ラインは24時間/365日稼働しています。それに合わせ刷版部門も昼夜を問わない製造体制を整えています。刷版工程は印刷機を動かす前の最終工程であるため、細心の注意をもってお客様からご入稿いただいたデータに対応させて頂いております。
また印刷から加工までワンラインで処理することができる当社の「インラインフィニッシュ・システム」を最大限に活かすための刷版づくりには数多くの実績がございます。